DIATONE DS-10000
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(DS-10000)

 ひとつ、ひとつ、丹念に、調整、整音をくり返し、生まれてくる楽器たち。やがて、彼らは演奏者の手に委ねられ、新しい音楽を紡ぎあげてゆく。その音は、時を酔わせ、風を酔わせ、そして人を酔わせる。そんな、暖かい音がする、慈しみの心があるスピーカー・システムは、できないものか。ダイヤトーンの技術者が、もてるすべての技術を投入して、もてるすべての感性を注ぎ込れて、いま、新しい音をつくりあげました。KLAVIER(クラヴィール)。

Woofer
   振動板には、27cm口径のアラミッド・ハニカム・カーヴド・コーンを採用しています。アラミッド繊維は、芳香族ポリアミド系の長繊維素材で、高強度、高弾性の性質に加え、低密度と適度な内部損失を兼ね備えています。ダイヤトーンでは、ハニカムコーンのスキン材として、このアラミッド繊維で強化される可?性レンジを特殊配合し、樹脂自身に大きな内部損失を持たせた、特殊マトリクス樹脂を開発。このスキン材とアルミ・ハニカム・コアを接着した、ハニカム構造振動板として成形しています。さらに、コンピュータ・シュミレーションにより設計の最適化を図り、振動板はカーヴド形状とし、ボイスコイルは精密ワインディング加工のエッジワイズコイルを採用。実効エネルギーの向上により、低域から中低域にかけての量感、質感を向上させています。一方、振動板を支えるフレームについては、ダイヤトーン高剛性思想の結実でもあるD.M.M.構造を採用。磁気回路とフレームとを、事実上、一体化しています。磁気回路部の振動を完璧に抑えこみ、入力エネルギーの振動板への損失なき伝達。トランジェント特性、リニアリティ、応答性、解像力、すべてに高い次元での再生を実現しています。

Mid-range
 50m/m強化拡散ボロナイズドD.U.D.ミッドレンジ。振動板の高剛性化を、振動系へまで敷衍化させたD.U.D.構造。ダイヤフラムとボイスコイルボビンを一体化させ、振動板に直接ボイスコイルを巻きつけるという、シンプルかつ高剛性な振動系により、高速応答性、耐入力性、トランジェント特性を、大幅に改善しました。この優れた振動板をさらに活かすべく、ダイヤトーンでは、振動板を支えるサスペンションにも着目。高いリアリティが得られ、サスペンションからの輻射を極力抑えるよう、硬度コントロールされたブチルゴムとポリアミド繊維の三層構造による、タンジェンタルエッジを採用しています。また、振動板からのバックプレッシャーが直接かかってくるアコースティックカバーには、共振モードが一箇所に集中せぬよう、構造的に分散させるため、すべて手絞りによる成形を行っています。さらに、サスペンションを介し振動系を支えるサブフレームには、振動減衰がコントロールされた砲金製の削り出しによるものを使用。マグネットとフレームを一体化させた、D.M.方式の採用とあわせ、振動板のみならず、ユニット全体からの、再生音に対する見なおし、音の処理を追及しいぇいます。いままでのシステムでは、到達し得なかった、量産不可能なスペックを実現しました。

Tweeter
 振動板には、多段絞り加工を施した、23m/m強化ボロナイズドD.U.D.を採用しています。ボロンは、金属よりむしろ磁器に近い特性を持ち、その余韻の美しさは、他に類を見ません。ダイヤトーンでは、その素材効果を最大限に活かすべく、D.U.D.という優れた振動板構造を得、持っている情報量をとことん出す、すべてを鳴らしきる方向で、ユニットを設計。振動板自身に一切の制動をかけない、ノートリートメントの振動板とするとともに、振動板を支える磁気回路部、フレームにはD.M.方式を採用。磁気回路がそのままフレーム化するという、高剛性なユニット構造により、振動板に与えられた音のすべてを鳴らしきります。さらに、振動板自身の構造についても、もう一歩おし進め、DS-5000形で初めて搭載した、多段絞り形の振動板を採用。限られた振動径で最大の強度を得られることができ、強化拡散ボロナイズドD.U.D.の優れた特性を、さらに拡大することができました。サブフレームには、ミッドレンジ同様、砲金製削り出しによるパーツを使用。ムーヴメントの寸法精度を厳しく取るとともに、砲金自身のもつ美しい振動減衰により、余韻の美しい高域再生を実現しています。最新の技術を駆使して、さらに、その響きを磨いたユニットは、もはや楽器の域に立ち入ったといっても過言ではないでしょう。

3Wey System
 ユニットのすべてに、技術を尽くし、心を尽くし、またその一方で、スピーカー・システムを構成する他のパーツには、それにふさわしい贅を尽くしました。システムに関る全配線には、線径に余裕をもった極太線状結晶無酸素銅線を採用。電流の金属境界面ひずみを排除する目的で、ダイヤトーンがいち早く採用した圧着ワイヤリングのスリーブには、すべて金メッキを施しています。さらに、電流密度への徹底した見なおしから、各ユニットへの適正な電流供給を約束する、ラジアル給電方式によるディストリビューションなど徹底的な高性能化と信頼性を確保しています。ネットワーク回路には、とくに大形MPコンデンサの採用等、贅沢な素子を惜しみなく使用する一方、インダクター相互の電磁結合、スピーカー内圧によるモジュレーションを考慮して、その基材には減衰特性の美しいスプルース材を使用、さらに、3ピースの分離分割構造を採用しています。各ユニットにこめられた、手絞りによるアコースティック・カバーや、砲金削り出しのサブフレームといった手法は、システム全体としての技法にも立ちもどり、たとえば、サランネットの排除、各ユニットのボルトキャップなど、ダイヤトーンの音を磨きあげる心は、隅々にまで活かされています。なお、この機種については、ダイヤトーンが、プライマリー・エージングの工場保証をしています。ただ製品をつくるだけでなく、その音をも保証する。ダイヤトーンの音への姿勢が、ここにも表われています。

Enclosure
 最高の木工技術をもって、贅沢につくりあげる。このエンクロージュアーを、これほど端的に言い表わした言葉はないでしょう。楽器づくりの技、巧み、さらには、その響きを追及。そのうえで、ダイヤトーンの振動解析技術をつくしました。そして、技術的な総合評価がなされ、ひとつのエンクロージュアーに行きつきました。バッフル板と裏板には、ピアノの響鳴板として、使われている、スプルース材を使用。その素材特性と、高剛性ユニットとの、ベストマッチングをとるため、これをランバーコア構造とし、採用しています。さらに、バッフル板と裏板との、共振モードを分散させるため、各々のランバーコア材の方向を変えています。表面仕上げは、贅沢で格調の高い、漆黒仕上げ。工芸品とも呼べる風貌です。その深い光沢と重厚感もさることながら、ダイヤトーンでは、音質特性を考え、この表面仕上げを採用しています。事実、一般に使われるウレタン塗装に比べ、表面の硬度が充分にとれ、アタックのスピード感、解像力を飛躍的に向上しました。芸術品ともいえる漆黒の深淵。驚くべきほどの音の粒立ち。もはや、再生器というよりは、楽器の域にまで達した、その音の存在感。あなたの心は、もう、その音、その姿を忘れることはできないでしょう。なお、ポリッシングワックスと、ポリッシングクロスを同梱いたしました。あなたの部屋で、あなたの横で、末長くご愛用ください。


■ DS−10000<限定生産> ¥350,000 (1台)
■ スピーカースタンド ¥100,000 (2台1組)

●形式:3ウェイ・3スピーカー密閉方式ブックシェルフ形
●使用ユニット:低音用-27cmアラミッド・ハニカム・カーヴド・コーン形
 中音用-50mmボロンD.U.D.ドーム形、高音用-23mmボロンD.U.D.ドーム形
●公称インピーダンス:6Ω
●再生周波数帯域:35〜60,000Hz
●最低共振周波数:45Hz
●出力音圧レベル:90dB/W/m
●最大許容入力:180W(EIAJ)
●定格入力:60W(EIAJ)
●クロスオーバー周波数:600Hz,5,000Hz
●ネットワーク:低音用 -12dB/oct、中音用 12dB/oct、-12dB/oct、高音用 12dB/oct
●外形寸法:幅360 x 高さ625 x 奥行290mm
●重量:27kg